小春日和の先週末、両尾町のすまいの引渡しとなりました。
朝の日の光の入り方が柔らかく、優しくリビングを包みます。
若夫婦のこれからの生活に相応しい新しい光です。
こちらのご家族は縁があってご紹介をいただき、こうして仕事をさせていただきました。
その時私は事務所を立ち上げたばかりで、
まだ自宅も工事中。実際にお見せできるような実績が一件も無い状態でした。
その前提でご説明をした上で色々とお話を伺い、提案をさせていただくこととなり
まさかまさかのご決断をいただきました。
今思い返してもよくぞ、、、という。
いえ、もちろん私は独立したからにはやり切れる自信のあるご提案はさせていただきました。
でも、実績の無い若い女に、ご自分の生家を触ることを許すというのは
本当に勇気がいったことだと思います。
最後まで、”どうして私に決断いただけたんですか”
と聞けずにおりましたが(流石に怖い)
引渡しのチェックの為に、室内をご案内している際
「俺ここ好きなんだよね」
「このドア閉めたくないよね」
「この光がいいよね、電気いらんやん」
「ここの部屋が一番いいよね」
とご夫婦でお話されているのを後ろ手に聞きながら、
”ああ、、、私は無事期待に応えられたのかな、、、、、、”
と思いました。
もう本当に、その都度ギリギリまで現場で悩みました。
この空間本当にこれでいいのかな…
きっとご家族にはこっちの方が相応しいのでは…
この素材と壁と、それからこの組み合わせは…
人の生活の基本である、衣食住の住。
ここで大切な人と過ごし、食事をし、眠ります。
ここから外に出て、帰ってくるところです。
そんな大切な場所の、大きなお金を預かるのが我々の仕事です。
なあなあで設計する訳にも行かず、往生際悪く仕上げる直前まで頭を抱えます。
本当に設計がうまくいったかどうかは、これから住まわれるご家族が
この家をこの家族のものにしたところを見てからです。
早くそれが見たい。
楽しみです。